オーストリア・アルプスは、ヨーロッパ・アルプスの東側に位置する山域で、スイスアルプスの延長上に有ります。

スイスアルプスは、3000メートル級の山々を連ねた大山脈で、アルプス山脈の中でも中心的な存在となっています。このスイス・アルプスから東側、オーストリア・イタリア国境に連なっている山域がオーストリア・アルプスです。

オーストリア・アルプスは、イン側沿いチロル地方を形成し、途中、東チロル州とザルツブルグ州との州境に、グロースグロックナー3798mを頂点とした山域を造り、東に伸びるにつれ、次第に緩やかな山並みとなりウイーンの森あたりで終息してゆきます。

オーストリア・アルプスは、フランス、スイス、イタリア・アルプスに比較すると、山々の高さ、荒々しさ等、ひとまわり規模が小さいものの、オーストリア・アルプスらしい穏やかな、個性的な、素晴らしい山域が展開しています。



　チロル
スイスから連なるオーストリア・アルプスはフォアアールベルクと言う小さな州に入ります。
フォアアールベルク州はスイスの影響を受けた素朴な静かな山間の里です。
スイスから流れ出ているイン川は、フォアアールベルク州の山間を抜け、隣のチロル州を横切って行きます。

チロル州の首都はオーストリア・アルプスの代表的な山岳リゾート地ｲﾝｽﾌﾞﾙｸﾞ市です。

チロルにはイタリア国境より、イン谷に垂直に交わるように幾つかのタール（U字谷）があります。代表的なタールはイン側の南山脈にあり、西側からバツナウンタール、オーバーインタール、ピッツタール、エッツタール、シュトゥーバイ・タール、ヴィツブタール、ツィラータール等です。
谷といっても日本の谷のようにＶ字型ではなく、Ｕ字谷で谷底は広いのですが、谷の両側は急に切り立っています。

氷河の作り出した谷は、奥が深く各谷ごとに孤立し、古くからお互いの谷は行き来する事が出来ませんでした。
その為、各谷毎に独自の文化が芽生え、趣のある風土が育って行きました。

チロル州を東西に横断するイン側は、クーフシュタイン付近より北上し、オーストリアを離れドイツ東部を通過して行きます。そして再びオーストリアに入りドナウ川となってウイーンの森へと流れてゆきます。

チロル州の東部にキッツビュールと言う都市が有ります。この町の南北を挟んで見応えのある山域が有ります。、北側にはカイザーゲビルゲKaiser Gebirge（皇帝山脈）があり、荒々しい山容が印象的です。又南側には、キッツビューエラー・アルペンが有ります・
チロル州の東隣はザルツブルグ州です。


　グロースグロックナー（ホーエ・タウエルン山群）
ザルツブルグ州と東チロル州との境にあるホーエ・タウエルン山群には、オーストリア・アルプスの最高峰グロースグロックナー3798mがあります。ホーエ・タウエルン山群には，3500mから3600mクラスの山があり、オーストリア・アルプスのなかでは、特にアルペン的な山容を誇っています。

グロースグロックナーを眺める格好な山域が有ります。
それは、北側にあるキッツシュタインホルン、南側にあるマトライからカルスの峠越えをするパノラマ・トレッキングコースです。
マトライ、カルス等のある東チロル地方には、未だ俗化されない素朴な、古き良き時代の名残りが、あちこちに見られます。

また、東チロルの州都リエンツは、この地域の文化の中心であり、交通の要となっております。
マトライ、カルス等のハイキングは、リエンツよりのバス便を利用します。
リエンツの直ぐ南、イタリア国境には、リエンツドロミテがあります。独特な荒々しい山系で、一際目を惹きます。

　ザルツカンマーグート
ザルツブルグ市の東側に広がる湖水地帯はザルツカンマーグートと呼ばれています。
青い空、澄んだ湖、そして山々、それらが織り成す自然の景色は、絵のように美しく「素晴らしい」の一言に尽きます。ここは、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台となった場所としても有名です。

湖水地帯の南側奥深くダッハシュタイン連峰の麓近くには、世界一美しい湖岸の町と言われる「ハルシュタット」が有ります。更に谷奥深く入って行くと、「ゴーザウゼー」と言う静かな神秘的な湖水が有ります。